敵に勝つためならどんな手も使う、超凄腕の政治ロビイスト(ジェシカ・チャステイン)の話。敵とは、銃規制法案に反対する銃産業と、そのロビー活動を専門に行うロビイスト会社のチーム。成立か廃案かを決める議員の票の獲得を巡って、ヒロインが率いるチームと熾烈な争いを繰り広げる。駆け引きや謀略に溢れたロビイストどうしの対決がスリリングで面白かった。
そして、やはり西洋は言葉と論理の文化だと痛感。言葉で戦えない者は勝者にはなれないし、それを表現する台詞の嵐についてゆけないと映画からも振り落とされる。同時に、銃規制の是非を巡る政治的な動きというものが、必ずしも正義とか信念に基づいているわけでは無いこともよくわかった。さらに、こんな生き馬の目を抜くような活動を19世紀から戦略的に行ってきたような国に、議員の投票が所属する党がどこかによって自動的に決まってしまうような(従って、ロビー活動そのものが意味を持たないんじゃないかと思われる)国が、駆け引きや交渉ごとで果たして勝てるんだろうか?とも思った。
我が国では、安保法制をめぐる駆け引きを憲法9条をからめたフィクションとして映画化するなんて夢のまた夢。そんな国の民にしてみれば、夢みたいな映画だった。