半兵衛

この手紙を読むときはの半兵衛のレビュー・感想・評価

この手紙を読むときは(1953年製作の映画)
3.0
話はメロドラマというより軟派男のやり口が酷すぎて日活ロマンポルノみたいな展開になっているし、そんなストーリーをサスペンスを製作しているかのように緊迫感とスリリングさを交えて演出するメルヴィルの手腕によりますます変になることに。妹を暴行された主人公の姉の選択が更に話に混乱をもたらす、一昔前の田舎の暴行事件の揉み消し方かよ。

メルヴィル監督だけあって夜の街やキャバレー、そこに住む人間たちが魅力的に描かれる。でもその分メインである文具店を営む姉妹はあまり力を入れていないのが丸わかりで、この監督は好きな題材でないとあまり実力を発揮しない人なんだなと思ったりもする。

でもメロドラマを犯罪映画のやり方で作ることで妙な緊張感が生まれ、やってることは大したことないのに何故か目が離せないという不思議な結果に。暗闇と光というノワールな映像も緊張のあるドラマにぴったり。

くそ過ぎる軟派男の結末があまりにも唐突すぎて唖然、普通ああいう行き方する?そこから取って付けたような主人公の姉の台詞に苦笑。
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