Okabe

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この手紙を読むときは(1953年製作の映画)
4.4
メルヴィル的な演出のひとつに、儀礼的な所作/情動の欠落がある。'Sister'として律動するテレーズの身体。スカートに火が移り、男に抱き抱えられた際の論理的嫌悪と、同時に露わになる脇腹のインモラルな官能。曖昧なラストでは、静と動のあわいで揺らめく精神が、遺体の直ぐ側を、答えを留保したまま残酷に過ぎ去ってゆく。普通に感動して、バザン、トリュフォーの批判は取り敢えず、お決まりの「良質な伝統」批判(の前兆)というだけのことにしておきたいなと思った。
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