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サン・ドッグス -生きる意味を探して-のGreenTのレビュー・感想・評価

2.5
「人には生きる目的が必要」というテーマのオフビート・コメディです。

ネッドは9月11日生まれなので、多くの犠牲者を出した911に衝撃を受け、「テロリストはキライ」「人の命を救いたい」と、海兵隊に入ろうとするのですが、精神障害を持っているので毎年断られる。

しかし精神障害があるがゆえの無垢なマジメさで毎年申込みに来るので、サージェントのジェンキンスは「サンドッグス」というユニットをでっち上げ、「地元に巣食うアルカイダの地下組織から市民を守ってくれ」とネットを促す。

これは〜やばいだろ!と思いますよね。案の定、ネッドは自分のバイトの上司であるアラブ系移民の男性が、「52人のテロリスト・トランプ」に載ってるアルカイダに違いない!と判断し、見張りを続ける。

このネッドの行動とか執着心が勘違いで面白いんだけど、いわゆる「知恵遅れ」なせいで自分が社会に貢献しているんだ、自分はみんなに求められているんだ、って思えないからこういう妄想をするんだなあと、笑えるけど悲しくもある話です。

ネッドのお母さんローズは看護婦で、旦那のボブはトラックの運転手をしていたのですが、腰を痛めたのは運送会社のせいだとして訴訟を起こし、大金を取ろうとしている。で、働くことができるなら訴訟にならないので、家でゴロゴロしている。ローズは1人で家計を支えている。

また、ネッドと知り合い、サンドッグの活動を助けるタリーって女の子は、家族もなく1人でトレーラーハウスに住んで、田舎のカジノに来るおじさんたちにカラダを売って生活している。トレーラーハウスの家賃が払えず、管理人とも寝るハメになる。

この映画の方が『ヒルビリー・エレジー』よりも「リアルな貧困のアメリカ」を描いているなあと思いました。女性でまともな収入が得られるのは看護婦だったり、男はトラックの運ちゃん、年をとったらなんの保証もない。息子は軍隊に入るのが一番、みたいな。で、この何もしない旦那さん、この人が「いるよな〜こういう人」とめっちゃ腹がたった。

ローズは若いときにニューヨークで暮らしたかったという夢があり、看護婦の経験を生かして、EMT(救急医療技士)としてニューヨークで生活できることに気がつく。今までそれをしなかったのは、ネッドの面倒をみなくっちゃ、とネッドを言い訳にしていたことに気がつく。

EMTの資格を取りニューヨークに引っ越すことを決心するとボブが「訴訟に勝ったら旅行に連れてって上げるから」と引き留めようとするところにマジで憤慨した。こういう男は絶対に信用しちゃダメだ!女に依存して、根拠もない訴訟で人からお金を取って生活しようなんて男に丸め込まれるな!と一番盛り上がった場面でした。

物語としては、ネッドの奇異な行動を通してお母さん、ボブ、タリーがみんな「人生の目的を見つけていく」って話だと思います。まあ、ボブはどーなんだろ?って感じですが。ネフリにある有象無象の中途半端な作品の一つですが、他に観るものがなければ・・・。
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