TakiRe9uieN

アンダー・ザ・シルバーレイクのTakiRe9uieNのレビュー・感想・評価

4.7
ネオノワールノワールノワールサイコサスペンス(?)

映画の聖地ハリウッドに憧れる者が住む街シルバーレイク、主人公のサムは以前映画関係の仕事をしていたが落ちぶれ、職にも就かず家賃すら滞納している生活をしていた。そんなある日隣に住むサラという美女に一目惚れをしデートまで約束したのだが、ある日サラは姿を消してしまった。部屋はもぬけの空で奇妙な暗号が書かれていた。サムは暗号やシルバーレイクの噂をヒントにサラを探そうとするがシルバーレイクに根付く陰謀にたどり着く。





⚠️ネタバレ注意⚠️






正直めちゃくちゃ好みでした!内容は初見では理解できやせん、そうゆう映画です。
「アンドリューガーフィールドのサスペンス」というだけで観てしまいました。流石に予告詐欺がすぎる。予告編が面白そうすぎて騙されて観たまであります(ふざけんな)。順当なサスペンスだと思ったらあたおか映画でした。でも考察してこの映画を読み解くことでギリギリ面白い映画(おれが好きな映画)になったと思います。

⚪︎陰謀論について

この映画は陰謀論や数々のオカルト要素をベースに作られています。
まず陰謀論とは?
何らかの有名な出来事や状況に関わる説明において根拠の有無に関わらず「邪悪で強力な集団(組織)による陰謀が関与している」と思い込んだり、断定すること。(wikiより)

この映画で出てくる主な陰謀論は
①シルバーレイクに伝わる犬殺しの伝説
②男女問わず誘惑し殺してしまうフクロウ仮面に裸の女の魔物。通称フクロウのキス
③昔の労働者の暗号を解読していけば労働者の王に会える。
④大富豪たちはお金の使い道を無くし、地下シェルターで死ぬまで遊んで暮らそうとしている。
⑤世に出回る音楽は1人の男が全て作曲しており有名アーティストはその曲をもらうことで成功している。


前提としてこれらは全てサムの妄想だとします。根拠としては作曲家の男と会ったとき、自分が成功できないのもこの男のような人物が映画業界にもいるからだと思ってしまい、現実を受け止められず男を殺すというシーンがあります。その後すぐ警察が来て逮捕されると思いきやスルーされます。
Q何でスルーされるの?→A誰も殺していないから。あのシーンは全て妄想の世界なのです。

監督は昔、実際にシルバーレイクに住んでおりハリウッドに近いシルバーレイクははハリウッドを目指す夢追い人が多く住んでおり、日常的にあいつがいるから成功しない!という会話が飛び交っていたそうです。
このエピソードをもとに「アンダーザシルバーレイク」の構想を思いついたらしいです。

⚪︎動物について

この映画には数多くの動物が登場します、動物たちにはそれぞれメタファーとしての意味合いを持ちます。

①リス 
序盤で木から落ち死んでしまいます。かつて映画関係の仕事をし今は堕落してしまったサムの意味します。
②フクロウ
フクロウのマスクの女、通称フクロウのキス。アメリカでフクロウは不吉の象徴として恐れられていた。作中ではサムの不安感を煽っていた。
③スカンク
汚らわしい、近寄り難い存在を表現。作中でどんどん妄想にふけるサムの大衆のイメージを表現している。


⚪︎犬殺しの犯人とは?

作中の犬殺しはサムだと思います、冒頭でイタズラをする子供をボコボコに殴るシーンがありますがあれはサムの精神状態を表しています。サムは彼女に逃げられたのちビスケットを常に持ち犬を誘っています。犬を飼っていないのにビスケットを持っているのはどうも不自然です。サムは彼女に振られたことを恨み、怒りを抑えられず犬にやつ当たりをして、犬殺しをしていたと考察できます。
富豪たちに眠らされたあとホームレスキングに「なんでこんなことになったんだ?」と言われたときにサムは彼女に「逃げられたからだ、別の彼氏がいた、彼女の愛犬にいつでもビスケットをあげられるよう持ち合わせていた」と発言していたシーンから想像できます。
妄想で人が犬の鳴き声で吠えているシーンが度々流れているのはサムには犬殺しの罪悪感があるからだと考えられます。


⚪︎サラは存在していたのか?ラストシーン意味は?

隣に住んでいたサラもサムが抱いていた妄想だと思います。サラがシェルターに居ると知り電話するときにビデオ電話?のようなもので画面越しにサラを見ていました。このシーンでは画面越しつまり現実ではないことを我々に印象付けています。このシーンと対になっているのがサムの家の向かい側にあるサムが覗きをしていた女性を抱いているシーンです。サラの存在はサムが作り上げた都合の良い存在でしたが、向かい側の老女はサムにとって一番近い存在、つまり現実です。
妄想で作り上げた女性よりも、現実を見た方がいい。これがラストシーンで伝えたいことなのだと思います。


⚪︎町山氏の講演を聞いて

町山智浩さんの講演で数多く紹介されていました。作中で出てきた第七天国やジャレッドゲイナーは全て陰謀に包まれているものであり、作中でキーになる「陰謀」の匂わせになっているようです。他にも興味深い小ネタが出ていたので是非見てください。この公演でだいぶ理解度深められたと思います。

その1
https://www.youtube.com/watch?v=LZ7Lkfe1yM0&t=4s&pp=ygUr44Ki44Oz44OA44O844K244K344Or44OQ44O844Os44Kk44KvIOeUuuWxsQ%3D%3D
その2
https://www.youtube.com/watch?v=m0sRZqtOmoE&pp=ygUr44Ki44Oz44OA44O844K244K344Or44OQ44O844Os44Kk44KvIOeUuuWxsQ%3D%3D

ネオノワールサスペンスというようにこの映画は終始暗い雰囲気で一人の男が抱く妄想に触れていく映画になっていました。世間では闇落ちララランドと言われています。ララランドのエマストーンとアンドリューガーフィールドはもと恋仲ということもあり、楽しげなララランドと陰鬱なアンダーザシルバーレイクを比較するとまた面白いかもしれません。
本当にわかりづらい、裏を返せば考察しがいがある不思議な映画でした。
アンドリューガーフィールド最高!
TakiRe9uieN

TakiRe9uieN