あ

ガールフレンドのあのレビュー・感想・評価

ガールフレンド(1978年製作の映画)
5.0
やっぱり下高井戸シネマは侮れない。神引き。アイダ・ルピノのやつも観たかった...(おや?YouTubeになんかあるぞ...⁉︎)

「結婚するの」「妊娠したの」、アンの少ないセリフでスーザンの天地をひっくり返すカッコ良すぎる映画。そして極め付けは「アン?」。久しぶりにアンと二人きりになれたスーザンのかけがえのない時間が当然のように終わってしまうカタルシスを、これ以上ないほどスマートに収めたスーザンの奇跡のようなストップモーション。いやぁ、カッコいい...

アンはもういないのにアンの赤を壁に塗るスーザンに、アンの結婚式の環境音を合わせる屈辱的な喪失感の描写からして素晴らしかったです。

アンの喪失は失恋のようだけど、そういう関係ではなく、彼も作るけど一人でも居続けたく、だけどアンの子を見ていたら子供は欲しくなった。こういったスーザンの経験を男性の私は自身の記憶から探ることができませんが、スクリーンに克明に浮かび上がってくるのは、絶妙な写真の選択もそうですが、シールを介した巧みなブロンドの挿入に寄るところが多かったと思います。

ブロンドがここまで印象的だったのは、ジャンルが真逆すぎましたが、「バニシング・ポイント」以来だったように思います笑 ブロンドはダンディズムから女の友情まで貫かれました。もちろん容姿の良し悪しという意味ではなく。

スーザンとアンの諍いについては、スーザンの苦労を見せられた分、スーザンに肩入れしてしまいがちだと思いますが、同時にアンの生活についてこちらは盲目だということに気付かされるアンの隠し方が、スーザンを客観的で立体的な存在にしていたところ、そして友情と性の狭間で、スーザン自身の人生を切実に見せる、嫌味のない全裸のシーン。キャラクターとキャラクター、そしてキャラクターと観客の距離感が凄まじく絶妙で、食い入るように観てしまいました。

これが廃盤で配信にもないということが、こまめに映画館へ凸することの重要性を教えてくれますね。

とりあえずジェーン・カンピオンのやつは絶対行くぞ...
あ