ワカナ

ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣のワカナのレビュー・感想・評価

3.9
天才バレエダンサーの苦悩と喪失、そして再生の物語。
予告でのセルゲイの美しさに一瞬で目を奪われ、バレエの知識はほぼゼロにもかかわらず映画館で鑑賞。

「夢はすべて叶えた。普通の人生を送りたい。」というセリフが衝撃だった。
類稀なる才能と血の滲んだ努力の末に栄光を勝ち取っても、そのために失った家族という代償の方がセルゲイにとっては大きかったのかな。
得たものと失ったもののバランスが崩れると、心も壊れてしまうのだろう。

目的も情熱も失ったはずなのに、心も身体もボロボロなのに、それでも狂ったように踊り続けたセルゲイ。なんでその状態で踊り続けるの…?といくつものハテナが浮かんだけど、その答えは私なんかには永遠にわからないんだろうな。いや、セルゲイもわからなかったからあんなに苦しんでたのか。

もはや狂気を感じたセルゲイの踊り狂う姿の美しいこと…。ラストの動画の撮影シーンは息が出来なくて、心が震えた。

何の前情報もなしに鑑賞して、勝手にセルゲイは今は亡き人なのだろうと思い込んでたから(謎の勘違い)、セルゲイの未来にまだまだ希望の光があることに安心した。
バレエダンサーは引退しても、"アーティスト"としてのセルゲイの今後の活躍に期待。
ワカナ

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