がんびーの

ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣のがんびーののレビュー・感想・評価

4.0
ライオンか鹿か鳥か…少なくともそれは人ではない。

猛獣のように助走をつけ、美しく飛び上がり、音も立てず着地する。人の踊りを見ていて見惚れたのは初めてかもしれない…。こんな綺麗な人間いるんだ。踊りもちろん素晴らしいんだが、体もそれと同じくらい美しい。必要最低限の筋肉を最大限につけたその肉体。しなやかであり力強い。他のアスリートとは次元の違う肉体。

天才が故の…と言ってしまえばとても失礼。彼はただの天才じゃない。天才だから変人でもない。天才だからって何かに欠けたわけではない。彼は本当の努力家で、本当の情熱家で、本当に家族思い。だからこそ頑張る目的を失った時、そのエネルギーの向どころが無くなったんだろう。

ウクライナ出身、19歳で史上最年少の英国ロイヤル・バレエ団プリンシパルとなったセルゲイ・ポルーニンは、その2年後、人気のピークで電撃退団。そのニュースは国内メディアのみならず、世界中に報道された。

スターダムから自滅の淵へ――様々な噂が飛び交う中、彼が再び注目を集めたのは、グラミー賞にもノミネートされたホージアのヒット曲「Take Me To Church」のMVだった。写真家のデヴィッド・ラシャペルが監督し、ポルーニンが踊ったこのビデオはyoutubeで1,800万回以上再生され、ポルーニンを知らなかった人々をも熱狂の渦に巻き込んだ。

<ヌレエフの再来>と謳われる類い稀なる才能と、それを持て余しさまよう心。本人や家族、関係者のインタビューから見えてくる彼の本当の姿とは…?
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