バンバンビガロ

廃墟の群盗のバンバンビガロのレビュー・感想・評価

廃墟の群盗(1948年製作の映画)
4.4
ウィリアム・A・ウェルマン監督作はこれまでに2作を見ただけに過ぎないが、『民衆の敵』では悪を再生産する社会の構図を、『牛泥棒』では集団心理と同調圧力の暴走をそれぞれ痛烈に批判する内容で、どちらも映画という媒体を通じて社会に対する問題を提起する姿勢が明確な映画であったように思う。
本作もまた敬虔なクリスチャンの家庭に生まれながら南北戦争きっかけに両親を失い野盗へと身をやつした主人公の背景は当時の社会を反映したものであると考えられるし、誠実であろうとすることの価値を問い直す道徳的なテーマを正面から扱った映画であるということができる。
また明快さを欠いたシリアスで陰のある作風はフレッド・ジンネマンの『真昼の決闘』(1952)やヘンリー・キングの『拳銃王』(1950)などの同時代のオルタナティブな感性で作られた西部劇の一群と共鳴するようなところもあると思う。
その時代感覚やテーマ性だけにとどまらず映画のクオリティも申し分なく音楽の使いどころやクライマックスの銃撃戦など引き算の美学を追求した演出で魅せる。
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