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人生フルーツのSSのレビュー・感想・評価

人生フルーツ(2016年製作の映画)
4.6
観てよかった。

「営む」は「いとなし(暇無)」の動詞形で、字の通り暇なく物事に当たることを言うらしい。
津端ご夫妻は、まさに人生を/生活を営んでいて、それがとても人間らしく、豊かにうつった。
この時代に、人生を消費するのではなく営んでいる人がどれくらいいるんだろうか。

少し不便でも、時間がかかっても、できることは自分で。と仰ってる修一さんの言葉が全てを物語ってる気がした。
そういう生活ができてることが羨ましいし、その実行力が眩しいし、豊かさと穏やかさが画面いっぱいに延々と続いてて、あったかくて泣けた。
人間らしく生きたいね。少し不便でも。

あと。死は、実りの瞬間なんだなと思った。
フルーツで言うと、ようやっと実をつけて、収穫されるその瞬間。それが死なんじゃないか、って。
歳を取るごとに良い顔をしてくようになって、それで実をつけて終われたら、これほど豊かな人生はないよなあ。
すごく良いお手本を見た気がした。

音楽も個人的にお2人にぴったりだなと思うし、希林さんのナレーションも邪魔しないけど存在感があって心地よかった。
阿武野さんの本を読んでたから、一層感慨深かった。
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