すかちん

MIFUNE:THE LAST SAMURAIのすかちんのレビュー・感想・評価

MIFUNE:THE LAST SAMURAI(2015年製作の映画)
2.5
12月29日(2020年)にNHKBSPで観たドキュメンタリー「三船敏郎生誕100年」から間を措かずにWOWOWで本作。

黒澤映画の語り部である野上照代をはじめ、長男の三船史郎、香川京子、司葉子、土屋嘉男、おなじみの人たちが回想コメントを綴る。本作完成後に亡くなった加藤武、夏木陽介、八千草薫、土屋らの肉声が聞けるのは貴重。黒澤明による弔辞を、香川京子があらためて読み上げるという演出は、三船ファン黒澤ファンには毒である。いやもう滂沱の涙。

殺陣師・俳優の宇仁貫三(三船に100回斬られた男として知られる)のインタビューから始まるところからもわかるように、三船をサムライ俳優、チャンバラ俳優としてとらえる視点に本作は立っている。現代劇でも三船はむろん素晴らしいのだけれど(デビュー作の『銀嶺の果て』も現代劇だった)、欧米ではやはり三船=サムライ日本のシンボルなのだろう。それはそれで清々しい。随所で、三船とは直接関係のない戦前のサイレント期のチャンバラ映画が引用参照される(エンドロールでも延々と)のは、一代の名優の伝記に終わらせず、映画史映画を試みたものと解した。

それにしても、NHKの番組でも使われていた田中友幸(東宝プロデューサー)撮影によるプライベート・フィルム、原節子や佐藤允らも写り込んでいるあの8mm映像全編を観ることはできないんだろうか。
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