日本を代表する名優、三船敏郎についてのドキュメンタリー。
★冒頭は三船、ひいては黒澤以前の日本の時代劇の殺陣についてのレクチャー。貴重なサイレント映画の抜粋が引用されるが、それよりも本題の三船敏郎についてをもっと取り上げて欲しがった。
★俳優になりたくてなった訳でなく、食いぶちを得る為にスタッフ志望だった事は語られる。しかし、東宝のオーディションに危うく不合格になりかけていた所を高峰秀子と黒澤明に救われた事は語られず。証言できる２人が既に他界しているからか。有名な話ではあるし、黒澤との出会いとなる重要なエピソードだと思うのだが。
★黒澤明がロシア(当時ソビエト連邦)で「デルスウザーラ」撮影中に三船が陣中見舞い。チョイ役でも良いから出演したいとの三船に、黒澤は「三船ちゃんにチョイ役はさせられないよ」と断った話も無い。２人が「赤ひげ」を最後に仕事を共にしなくなった後も不仲ではなかったとしながらも具体的な事例に触れず。「デルス～」のエピソードはうってつけだと思うのだが。
★コンパクトにまとまっているが、全体的に掘りが浅い印象。
たとえ真相に迫れずとも、三船と黒澤が別々に仕事をするようになった理由とか、もっと深いテーマで見たかった。
