いのしん

ReLIFEのいのしんのネタバレレビュー・内容・結末

ReLIFE(2017年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

高校生の時にcomicoで漫画を読んだ作品。観ていくうちに、夜明了(千葉雄大)も一緒に高校生に紛れ込んで生活するという設定だったり、日代千鶴(平祐奈)も実はリライフの被験者だったことなどを思い出して、久しぶりのストーリー・世界観に「そういえばこんな話だったな」と懐かしさを感じる。
薬を飲んで高校生活を1年間やり直す、ニートを更生させる、など設定は良いのだが、学園漫画でありがちなイケメン男子高校生と不器用な女子高生がいちゃいちゃして恋に落ちる、みたいな恋愛要素が実写版だと観ていて辛かった。
とはいえ、高校最後の夏は一度きり。「今を大切に」と繰り返し言う海崎新太(中川大志)の言葉はすごく共感できる。高校生である大神和臣(高杉真宙)達はそんな海崎を「おじさんくさい」と片付けてしまうだけだったが、海崎がリライフの被験者であること、一度社会に出て絶望しているという生い立ちを分かっている視聴者からしてみると、その言葉に説得力がある。そして、卒業式の日にみんなに向かって今を大切にすることを伝える海崎の姿を見て、同じリライフの被験者である日代がその言葉に胸を打たれ一番に泣いてしまう。ここは名シーンだと思う。そういう青春したかったな。
思い出とは何か。写真に残したがる人もいるけれど、何か楽しかったなというぼんやりとした記憶があるだけでも人は生きていけると思う、と日代は言う。うーん、そうだろうか。
現実にリライフのようなプログラムがあったらすごく効果的だと思う。理不尽な世の中、社会に揉まれて病んでいく人たち、生きるためだけに働く社会人、夢も目標もない20代、自殺大国日本。こういう暗い現実を変えるには、自分を変えるには、まずは行動して環境を変えること。手段として転職とか起業とかワーホリとかあるけれど、高校生活に戻るという選択肢があったらどんなに楽しいことだろう。自分が過去に一度送った高校生活で、やり残したことをもう一度できる。そこで得た経験を未来に繋げられる。絶対良い刺激になるはず。そういう夢を持たせてくれる作品だと思う。