たま

ブルー・ジェイのたまのレビュー・感想・評価

ブルー・ジェイ(2016年製作の映画)
4.0
配信だからこそ出来た映画。
とても静かなモノクロ作品。

ほぼふたりだけの会話で成り立っている。

高校時代のカップル、ジムとアマンダが20年振りの故郷で偶然再開する。
ふたりとも故郷を離れていたけれど、たまたま戻っていた。

スーパーでの再会の場面のぎこちなさがかなりリアル。
喫茶店「ブルージェイ」でお互いの近況を語り合うが、ここでもリアルなぎこちなさ。
きっと再会なんて望んでいなかったんだろう。
気まずさや居心地の悪さが、ジワジワと伝わってくる。

昔よく行った酒屋や水辺を巡り語り合い、この後ジムの実家へ向かう。

懐かしい音楽、懐かしい服、懐かしいカセットテープ……
ここからは、お互い20年前にタイムスリップしたような気持ちになっていく。

若く、瑞々しく、純粋だった過去。2人の相性の良さも感じる。
幸せなカップルだったはずなのに、いったい2人に何があったの?
楽しげな2人をみているとその疑問が頭から離れない。
なかなか別れについて語らない2人にジリジリしてくる。

ようやく明かされる理由に、全てが腑に落ちる。
ひとつの選択が、そして取り返しのつかない方向へ。
後悔しても2度とその頃には戻れない。

それでもこの再会によって、ようやく過去を直視することが出来たのなら、明日に繋がっていくのかなと思える。

この上なく地味な映画だけど、心に響く作品でした。
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