かじドゥンドゥン

ブルー・ジェイのかじドゥンドゥンのレビュー・感想・評価

ブルー・ジェイ(2016年製作の映画)
3.8
スーパーで再会した、中年男女、かつての恋人同士。失職中で腐り気味だったジムだが、思い切ってアマンダをお茶に誘い、近況報告からはじまって、徐々に打ち解け始める。妹の出産を機に一時的に帰郷した、既婚者のアマンダは、そのままジムの誘いに応じて、彼の家に。

ジムがそのままとっておいたらしい、高校時代の思い出の数々。付き合って40年、子ども二人を育て上げた老年夫婦を二人で演じて吹き込んだ音声テープを、苦笑交じりに聴いた二人は、あらためて、二人の家庭を演じて遊んでみる。

遊び疲れ、並んで横になる二人。アマンダは、実は抗うつ剤を飲んでいるという、夫にも言っていない事実をジムに打明ける。二人の親密さが加速的に高まり、一見自然な流れでジムがアマンダに口づけし始めるが、突如アマンダが拒絶し、帰ると言い出す。

慌てて引き止めようとするジムとアマンダとの会話のなかで、二人の過去が明らかになる。高校時代、アマンダは妊娠。まだ若かったジムは、その事実に戸惑うばかりで、アマンダに冗談めいた幼稚な言葉しかかけることができなかった。失望したアマンダは、子と彼との未来を断念し、何も言わずに彼の前から去ったのだった。ジムの部屋には、そのときに渡し損ねた未開封の手紙があり、それを遅ればせながらアマンダが読み上げる。率直に愛を打明け、二人の将来を引き受ける決意表明の手紙。ただし、それを渡せなかった。それが事実であり、二人はもう引き返せない。