鎌ちゃん

八重子のハミングの鎌ちゃんのレビュー・感想・評価

八重子のハミング(2016年製作の映画)
3.4
「アルツハイマー(認知症)介護入門的作品」

作品としては主人公の講演会で始まりそこで話す内容が回想形式となって進んでいきます。
話している内容という体(てい)だからでしょうか?時系列が若干バラついて「おっと」となりそうですが字幕で年号と月が出るので油断しないように。
そして思い出話なのがポイントで、思い出なだけに生々しい描写が極力さけられており、シリアスな社会派やメッセージ性を求めている人には物足りないと思います。
また脚本を兼ねた監督が制作費捻出に奔走していたのもあってか、脚本が練られておらず序盤では「?」が付くような状況や台詞が多数見受けられます。
前述の生々しい描写をさけた演出で抑揚も弱いので、主人公が詠む短歌も原作では重要なファクターなのに機能できていないのが残念でした。
なんて辛口になってしまったのは主人公の境遇がかなり恵まれているからなんです。
昨今問題になっている老老介護でも主人公の社会的立場の高さ、親友が医師だったり娘夫婦が近所に住んでいたことなど、ドキュメント等で慣らされると「時代背景を考慮してもこのケースは恵まれてる方だな」とどうしても見る目が厳しくなってしまうんです。
だからこそ介護での苦労は視覚情報のインパクトでもっと強めに演出していたらなと思いました。
鎌ちゃん

鎌ちゃん