緑

鉱 ARAGANEの緑のネタバレレビュー・内容・結末

鉱 ARAGANE(2015年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

音と闇と光の暴力に我が身を晒す68分(褒めてる)。
監督がタル・ベーラの弟子ということで、
20分くらいの長回し×3とかで
構成されていたらどうしようという不安は杞憂だった。
トランス状態になるか、
拷問にしかならないのかどちらだろうと思っていたが、
そのどちらでもなかった。

ノーナレーション、ノーミュージック。
今なにをしているのかよくわからないまま
シーンが繋がれてゆく。
その間、様々な種類の音が轟音で鳴り響く。
鑑賞環境は映画館一択な作品。

鉱夫たちの会話は字幕がついたりつかなかったり。
作業環境の劣悪さを現場監督に訴えるところ以外は、
その場その時の作業に必要な会話か、
他愛もないジョーク。
観ている者に訴えるような言葉はどこにもない。

轟音の中に身を置き、
時間の感覚がなくなる珍しい経験をした。
時間を忘れて集中したというのではなく、
5分しか経っていないのか、
もう30分以上経ったのか、
時間の長短が本当にわからなくなった。

残っていた尺から逆算するに後半に突如挟まれた、
恐らく1分にも満たないであろう無音の時間。
やかましいときより目が冴え、
その感覚のままラストまで。

終盤は作業音ではなく日常音が流れ、
ダウンタイムのように耳が少し落ち着いた。
坑夫たちがまたエレベータで
地下にある降りていくカットで終了。

舞台挨拶等での監督の話。
無音タイムはそのあと7分ほど続く機械音の前の
小休止として入れた。
音声は基本的に同録で、
少しリズムをつける程度の手は入れた。
この作品を捧げられたベゴさんは
撮影中に炭鉱を案内してくれた鉱夫さん。
炭鉱内で鉱夫が語っていた大怪我をした同僚は
命に別状はなかったとのこと。
緑