みほみほ

少女は悪魔を待ちわびてのみほみほのレビュー・感想・評価

少女は悪魔を待ちわびて(2016年製作の映画)
3.5
🔪2023年231本目🗡(字幕)

単なる復讐物語かと思ったら、序盤からゴッテゴテに掻き回してくれて 掴みは期待通りの安定の面白さ。正直あまり期待していなかったので気が進まなかったが、それでもここまでのクオリティで惹き付けてくれるの本当流石過ぎる。

しかし途中から展開にスピード感が無くなり、次第に緊迫感も薄れ尻すぼみになっていくのがもったいない。刑事が目立ち過ぎて肝心のヒジュが埋もれちゃっている印象もあったし、犯人(推定)の強烈なキャラクターが途中から生きてないし、序盤で面白くした部分をあっという間に終息させてしまいちょっと拍子抜けした。

班長の娘だからヒジュの事を仲間全体で大切に守っているのは分かるんだけど、刑事の行動一つ一つが妙にオーバーで、犯人といえど推定なので不愉快になる行動(嫌がらせ)も多くあり、一刑事がこんな振る舞いでいいのか…と思った。(変に周りの刑事達が現代寄せな要素があるからか、刑事の際立った行動が逆に目についたのかも。)

刑事がコレだから 犯人役にちょっぴり肩入れしてしまいそうになるし、序盤であれだけの異様さを刻み込み 極度の変態っぷり(変態という表現が可愛すぎるくらい)を演じきってくれた俳優さんの努力が水の泡な気がする…この俳優さん多分初めて観たけど、怪しさが素晴らしかった。

ヒジュのキャラ設定が不自然だったので、事件に対する執念は本気で計画的なのに、社会での顔がふわんふわんしていて統一性がなくて、設定としてそんなわけあるかい!と思うシーンも。

演技から見ると、事件の影響で心の成長が止まっているかのような印象を受けるのだけど、復讐の面ではやり手過ぎるので 楽しむよりも先に無理矢理に思えちゃう。復讐の為に警察署であのキャラクターを演じているのは分かるけど、家で一人のシーンでの言動もちょっと不思議だったから、心を閉ざしているのが正解なのか…

最後は悲しさしか残らなかった…

最近の韓国映画よりもちょっと一昔前のラストにありそうな切ない悲しみ。エンドロールの歌の歌詞がヒジュの悲痛を代弁しているようで、込み上げて泣いてしまいそうだった。

父親を殺されたら…
そんな事を考えながら観ていたから、最初は気が狂いそうで身が持たない気もしたけど、ラストの選択とか決断は自分が同じ立場ならちょっと共感もあったりして、より物悲しさに飲まれる感覚があった。

先日観た「悪魔は誰だ」と少し後味が似てるが、本作の方が悲しみの種類が自滅的で強かったかな。

ヒジュの基本攻撃が 石 なのは面白かった。あんなにいいポイントで大きな石に二度もめぐり逢えるヒジュはきっとなにか持ってる💫笑

インパクトとか序盤の掴みとかは最高だったんですが、犯人vs刑事 でバチバチしてたのが、犯人vsヒジュに移り変わり、ラストスパートは刑事が薄れていく印象だったので、全体的にキャラのバランスが良くなかったかな…

主演の俳優さん、ずっとゴリ検に見えた。韓国の映画での俳優さんって、日本で言う名脇役の方が華々しく主演飾って泥臭い映画作ってくれるから、日本みたく主演あっての名脇役みたいに偏り過ぎないのがいいなって改めて思った。
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