このレビューはネタバレを含みます
居心地の悪い、だけど何処かに希望を探してしまう生活。
悲しみや人の優しさに触れる一人称の時間がある一方で時間はただ美しく過ぎていく事を思い知らされる映画。
山下義人がポストにメッセージを投函するシーンは背格好、身振りに今泉力哉監督を重ねてしまった。
とても繊細に、大切に作られた作品だなと感じました。
一部の役者さんの演技が序盤は少し気になりましたが物語が進むに連れて佇まいも相まって気にならなくはなってきました。
はじめの1時間はとにかく「何を見ているんだろう」という状態。ただ、後半に物語が大きく動くとその対比が効いてくる。
松本まりかさんが個人的にはあまり興味の持てない俳優でしたが、この作品での怪演に心を奪われました。
エンターテイメント性という点では物足りなさを感じる反面、文学的邦画の一つの完成形ではないかと思います。