1500年代から現代にいたるまでの「王冠の真珠」をめぐるエピソードを、イタリアでは教皇に、イギリスでは閣下に、フランスではサッシャ・ギトリがジャクリーヌ・ドリュバックに、同時間的に語るという構成で展開される。なのでずっと多言語会話が扱われる。架空の国の架空言語も出てきて、さまざまな国の男性らの四カ国語通訳を介してその架空の国の王女と会話する。オリヴェイラの『永遠の語らい』みたいになりそうな多言語会話もある。
失われた真珠を探し求め、アン・ブーリン、メアリー・スチュワート、エリザベス1世ときて、その真珠のひとつが日めくりカレンダーをめくるように祖母から孫へ、その孫がまた祖母になって孫へというのを5代くらい繰り返して、女の子が生まれず仕方なく男の孫に受け継いだら博打のカタとして手放され、それが踊り子の女性の手に渡りその踊り子が婆さんになって…実はそれがニセモノの真珠だったという見事な呆気なさ、盛者必衰、人の一生なんてそんなもんと言わんばかりの呆気なさが壮大に描かれてる。
ラストの「生まれたところへ帰りましたとさ」も粋で可愛い。
とはいえ途中で寝た。