寝木裕和

毒薬/我慢ならない女の寝木裕和のレビュー・感想・評価

毒薬/我慢ならない女(1951年製作の映画)
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ブラック・ユーモアの味つけがふんだんに塗されてはいるが、しかしその実、長年社会の中で信じこまれてきた倫理観、人が人を裁くとき稀に表層してしまう危うさを、考え直させりもする。

サッシャ・ギトリの演出が見事なのは、そういったコメディとダークネスの間を如履薄氷に行き来するのではなく、飽くまでもさらっと、軽やかに見せていることだ。

わりと晩年期に差しかかる頃の作品で、ギトリの演出の妙と、見せ方のセンス、ここに極まれり…といった感じ。
寝木裕和

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