ジェイコブ

ポップスターのジェイコブのレビュー・感想・評価

ポップスター(2018年製作の映画)
2.0
学生の頃、同級生の起こした銃乱射事件から奇跡的に生還して一躍話題となったセレステ。銃乱射事件の犠牲者を追悼する曲が大ヒットを記録したことで、彼女はスターの仲間入りを果たすことに。輝かしい栄光を手にしたセレステだったが、18年後の彼女はスキャンダルに暴言、薬物を常用するなど、過去のトラウマから逃げようとすればするほど、自らを壊していった。セレステはそんな状況を打開すべく、再起をはかるためのカムバックツアーを始めるのだが……。
ナタリー・ポートマン主演映画。
銃乱射事件から奇跡的に生還した少女がスターとなり、堕落や様々な困難に直面しながらも再びスターとして返り咲く姿を描いている。銃乱射事件を取り扱い、ナレーションも入れていることから、知らずに見るとセレステは実在の人かと思ってしまいそうになるが、100%創作である。マドンナやレディー・ガガ辺りをビジュアルイメージにして描いたのだろうが、それにしてはラストのステージシーンのショボさが痛すぎる。また、創作の人物だったらもっとドラマチックな展開あってもいいものだが、本作は終始セレステの退屈な日常に密着したように長回しで撮り続ける(まだラストのステージが良ければ全て帳消しになったのだが……)
本作の最大の違和感は「創世記」とか言って、セレステの誕生〜復活の過程を、神の誕生に擬えて物語を進めている事だろう。二時間弱我慢してみても、セレステには情緒不安定なワガママ女という印象しか抱けなかったし、「私が宗教」なんて言う台詞を恥ずかしげもなく語れるだけの魅力も感じなかった。
エンドロールから始まり、執拗なほどの長回しを見る限り、監督のギャスパー・ノエへの熱烈な憧れが感じ取れるが、残念ながら劣化版にすらなれていない。ナタリー・ポートマンが好きで観たのだが、ハッキリいって受けつけないタイプの映画だった。