このレビューはネタバレを含みます
3人目の子の出産と育児、さらに発達障害らしき2番目の子のサポートに疲弊するマーロ。兄の推薦で雇ったベビーシッターのタリーは、子供だけでなく荒んだマーロの心もケアをしてくれ、タリーとマーロは親友になっていく。心の余裕を取り戻したマーロは昔のように生き生きし始めるのだが…。
マーロの夫が、我が子を預けるタリーに関心がなくて会おうともせず、子育てに疲れ切っている妻の横でゲームに没頭する絶妙にぼんくらな男で、マーロが追い詰められるのも無理はないリアリティがあった。
タリーの助けでマーロも生き生きとした自分を取り戻した辺りはとても幸せそうでタリーのような友人が欲しいと羨ましくなる。
実はタリーが、マーロが若い頃の自分を基に作り出した幻想だと分かると、マーロが誰の手も借りず自分で自分を励ましながら全てを一人でやっていた真相が見えて、友情の場面も生き生きした場面も途端に痛々しい辛い場面に変わった。この、真相が分かると同じ場面でもまるで違うように見えるという仕掛けはうまい。
タリーが消えてしまうのはマーロ自身が、このまま空想の自分に頼ってはいけないと望んだからだろうし、夫もマーロの異変に気付いてサポートするようになるなど、救われる終わり方だった。息子も新しい学校で理解者となりそうな先生に出会えたり、希望が見えてよかった。