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タリーと私の秘密の時間のMyYouMeのレビュー・感想・評価

タリーと私の秘密の時間(2018年製作の映画)
3.7
3人の子を持つ母親マーロのと夜専用ベビーシッターのタリー、2人の関係が深まるうちにハートウォーミングな展開を見せるストーリーかと思ったら途中怪しい方向へ。そして明かされるタリーの真実。
セロン様、今作ではアクションとは別の意味で身体を張っていて、その演技が凄まじい。

子育て中の母親のリアルな姿がとても生々しく苦悩する様子がこれでもかとか描かれていて、経験者なら誰もがちくちく刺さるような場面が続く序盤。そして子育てに関してまるで他人事のように振る舞う、これまた夫のあるある事象ももれなくセットという結構なしんどさ。
息子もそれなりに問題を抱えたタイプの子供で、ここに新生児が来てしまうという、この状況が続けば正気を保てるはずもなく。責任感の強い性格の母親だと特に壊れやすいだろうね。

「他人に頼ったりできない」というマーロの言葉が彼女の本質を表していて、結果的に大きな伏線だったというのが切ない。
そんな彼女がシッターとして迎え入れたタリーはとてもズケズケとした物言いをする明け透けな若い女性。しかし夜の子供の世話は完璧でおまけに家事までこなして朝には消える。初めは何という天使だろうと思ったら、途中から人の家の冷蔵庫から食料を出してガツガツ食べ出すなどの違和感の連続。この“違和感”がタリーの真実をよく表してるんだよね。

子育ての責任が母親にばかり大きくのしかかり、我慢し続けなければならない現実。ましてや子供が3人ともなれば夫や身内といった誰かの協力は不可欠なわけで。
マーロの睡眠不足やストレスが生み出した結果を、夫がきちんと受け止めてくれたのはせめてもの希望かな。正直遅いしあの後もどれだけ続くもんかなという風にしか思えないけどね。

欧米ではベビーシッターに預けるというのは普通だと思っていたけど、経済的な理由で出来ない家庭やマーロのようなタイプの人もいるんだな。
そして母親なら子供の面倒を見て当然という空気感は今でも万国共通な面もまだまだあるという憂い。

本作はこれから子供を持つつもりの人が観ておくといいんじゃないかなぁと思った。
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