ユカートマン

僕とカミンスキーの旅のユカートマンのレビュー・感想・評価

僕とカミンスキーの旅(2015年製作の映画)
3.6
売れない美術ジャーナリストがスイスの山奥で隠居生活を送る伝説の盲人(?)画家の元に行き、伝記を書こうとする話。

グッバイレーニン大好きという期待値で見ると微妙。マティスの弟子でピカソの友人でブルトンがメンターという設定も、冒頭の芸術界の豪華な顔ぶれが並ぶフェイクドキュメンタリーも、章のかわりに挟まれる絵画のアニメーションも、黒澤映画が好きなエルケの部屋の和風のインテリアも、画面の暖かい色調も、ひと昔の古い電化製品も、細部はかなりセンスを感じる。達磨大師の「何もないというと思うことを捨てろ」という説話も良い。想定外のラストも、突然登場しては突然消えるドイツ語を喋るドニラヴァンも。セバスチャンとカミンスキーが騙し騙されな関係なのも(そもそも全盲なのかも怪しい)、テレーズがややボケてるところも、嘘の中に事実がある感じがグッバイレーニンっぽくて良い。
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