ノラネコの呑んで観るシネマ

7分間のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

7分間(2016年製作の映画)
4.6
11人の怒れる女。
舞台はイタリアの片田舎。
外国企業に買収された工場の運命は、労働者委員会の11人の女たちに託される。
新経営者の要求は「休息時間の7分間削減」ただ一つ。
たかが7分、されど7分。
その数字の持つ本当の意味に気付いた時、白熱した議論が始まる。
勤続30年のベテランから高卒の新人、元難民まで、年齢も出自もバラバラな委員会の女たちの面構えがいい。
経営者に屈して雇用を守るのか、7分を無限に続く譲歩の始まりと捉え、闘うことを選ぶのか、これはイタリアだけでなく労働者の尊厳と権利を巡る世界的なイシュー。
ほとんど密室で展開する会話劇。
非常に演劇的な構成だなと思ったら、やはり実話ベースの舞台があり、その映画化なのだとか。
脚本家は「十二人の怒れる男」からインスパイアされたらしいが、全会一致が原則の陪審員と違い、こちらは多数決だから11人なんだろうな。
見応えのあるパワフルな力作。