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オリエント急行殺人事件のCANACOのレビュー・感想・評価

オリエント急行殺人事件(2017年製作の映画)
3.2
有名すぎるアガサ・クリスティの代表作。『テネット』で悪役を演じたケネス・ブラナー監督・主演作品。ジョニー・デップ、ペネロペ・クルス、ウィリアム・デフォー、ミシェル・ファイファーが同じ画面内に収まっている贅沢さ。

雪による事故で停車したオリエント急行内で起こる殺人事件。運悪く“世界一の名探偵”ポアロが同乗していたため、事件の背景から証拠の持ち主、犯行の動機、誰がどこで嘘をついたのか、そして犯人は誰か、なんもかんもどれもこれも解き明かされてしまう物語。

ポートピア連続殺人事件と同じくらい犯人が有名な同作なので、いかに盛り上げるか、アレンジするかが見どころのはずだが、「ただなぞってる感」は否めない。原作が素晴らしいので、なぞるだけでも成立するが、丁寧に進めないとポアロが切れ者というよりただの超能力者に見えてしまう。

ケネス・ブラナー版を見ると「ポアロってこんなに動けるん⁉︎」と驚くシーンが出てくるのが見どころ。あと、髭マスク。
他の監督バージョンと比べると多めに人情味を覗かせるのがケネス版なので、鬼クールで知能だけで勝負するド変態ポアロが好みの人はコレジャナイ感湧くと思う。

最後の晩餐に見立てたラストは、辻褄関係なくやりたくてやった感があるため、あまりしっくりこなかったが、冒頭で「善と悪しかない」と断言したポアロの心情の変化はよく伝わってきた。犯人を知らずに本作を見始めることができる人が羨ましい。

次作の『ナイル殺人事件』のほうが個人的には展開がスムーズでよかった。
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