李

オリエント急行殺人事件の李のレビュー・感想・評価

オリエント急行殺人事件(2017年製作の映画)
4.0
ナイル殺人事件→ベネチアの亡霊→今作というよく分からない順序で観てしまったけど、見始め第一印象のキャスト豪華!から始まり、とても面白くてお気に入り映画の1つになった。。悲しいミステリーが好きな身としては、ポアロシリーズは最適解の1つだなと。「この世は善と悪で裁けるか」というとても良いテーマのお話で、善か悪しかなく中間はないと言い切るポアロの倫理観が、この事件の真相に近付くにつれ揺らいでいく姿がとても刺さった。司法上はどうしても2種類の判断しか出来ないけど、怒り悲しみ愛とか人が持つ複雑に絡み合った感情と行動はそこで裁ききれないこともこの世には多くあるのかもしれない。殺人自体を肯定はできないけど、悲しい事件の真相は決して悪とは言い切れなかった。この余白が良くて、冷徹ながら誰よりも人情味のあるポアロがとても好きになったし、私はこのお話について何も知らなかったので結末にかなり泣いてしまった。

エンディングでしっかりナイルが示唆されていたので、続けて公開時ぶりにナイル〜も観たのですが、面白ーい!となった。当時もやるせないお話にやられたけど、読めるわけのない事件の真相が楽しいし皆の抱える様々な愛に再度心がやられた。+0.1点しておきました。ブークという愛すべきキャラが続投キャラということも2作観て知った。ベネチアの亡霊の開幕でポアロが探偵業から引退していたのもなるほど、、原作を読もう読もう思いつつ1冊も読めていないので、今年こそ読みたいな。この情緒溢れる人間心理描写、文章だとどんな感じなんだろう。
李