大道幸之丞

オリエント急行殺人事件の大道幸之丞のネタバレレビュー・内容・結末

オリエント急行殺人事件(2017年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

英国で「ミステリーの女王」と呼ばれたアガサ・クリスティの原作。
名私立探偵のエルキュール・ポアロが登場するシリーズ。横溝正史の金田一耕助を連想するが、モデルは別にいるそうだ。

1883-2009年まで運行されていたパリーイスタンブール間を結ぶ長距離夜行列車でのミステリー。ミステリーを満たす要素の「密室殺人」は一度乗ってしまうと途中で容易に下車できない急行列車ならば叶うとあって「カサンドラ・クロス」など急行列車が舞台にされる作品は多い。

私は本作はもっと昔の1970-1980辺りの作品と思い込んでいたが、2017年に制作でリドリー・スコットが関わる作品であった。その為に観始めてキャスティングがジョニー・デップやウィレム・デフォーといった最近の俳優が出てきたので面食らった。

気をつけたいのは「よし、犯人を当ててみせるぞ」と意気込んでも人物の背景などの付帯情報はすべてポアロの記憶にあり、どこかで示されるものではないので、鑑賞者の謎解きは限界がある。

これはネタバレレビューなので書いてしまうが本作の犯人は全員という顛末。「それはないよ!」と嘆いてしまう。

本作は我々なら一生乗ることもないようなヨーロッパ横断急行の豪華さや過ごし方を眺める事が出来る事に価値がある。

過去の大事件が結局列車内の殺人へのトリガーであって、そのために計画的に同じ時刻の同じ便の列車に乗り込んで来ていたのである。

正直「謎解き」だけで言えば文化背景を把握しやすい人間の愛憎劇が多い横溝正史作品の方が面白いと思う。

この続編として「ナイル殺人事件」があり作品の終わり頃にはそこへの導入も用意されているので是非観てみたいと思う。