【社会に潜む問題・恐怖・恨みを細かく表現】
やはりアガサ・クリスティが原作の作品は期待を裏切らない。
これはオリエント急行の中で起きた殺人事件の物語。
この作品、一言でいうと奥が深い。
キャスティングもぴったりだ。
誰が目立ちすぎというわけでも陰キャラすぎるわけでもない。それぞれのバランスが上手くとれている。
1つ言わせてもらうとしたら、あのラテンの男、私が見逃したのか忘れてしまったのかは謎だか微妙にまだ彼のことを理解出来ていない。
しかし、犯人の目星がついたと思ったら、すぐに次の手がかりが見つかり、次々とこちらをハラハラさせる出来事が起こる。
見ていて飽きない、というか目が離せない。
言い換えるとしたら、情報量がえげつないので、私のようなミステリー映画の素人は2回見なければしっかりと理解は出来ないだろう。
また、世の中の動きが激しくなり、人・モノ・金が物凄い速さで流れていく今、問題視される人種差別問題の要素もこの作品には取り入れられていて、人種差別というのは遠くにあるように見えて、意外と身近にあるものなのだと実感した。
特に序盤の
ポアロが推理をしなければ警察は勝手に犯人を仕立てあげる。
おそらく、名前のせいでマイケルか、肌の色であの医者だろう。
このセリフはきっとこれからも忘れないと思う。
と同時に自分の無力さを感じさせる。
このシーンはこの作品に込められたメッセージの1つなのだと私は思う。
以前、どこかのテレビ局でアガサ・クリスティの作品が放映された。
そのときのあの作品も非常に難解で、録画したものを何度も見た記憶がある(リアリティーがありすぎたので夜は眠れなくなった)。
しかしなぜ、アクションやミュージカル、コメディが好きな私がこの作品を見ようと思ったのだろう…?
自分でも不思議だったが、よくよく考えてみると、私は小さい頃から土曜ワイド劇場は毎週のように見ていたり、マリコさんが出てくるあのドラマが大好きだったりしたので無理もないのかもしれない。
それにしても、あの結末。
個人的にはとても好き。
見終えたあとに頭の中がぐるぐる混乱し、挙げ句のはてにぼーっとしてしまう、たくさん考えさせられる映画なのだ。
アクション系のとはまた違う意味の目が離せない映画だった。