かるまるこ

オリエント急行殺人事件のかるまるこのネタバレレビュー・内容・結末

オリエント急行殺人事件(2017年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

右足でうんこ踏んだら左足もって…キリストかっ!と思ったらほんとにそういうつもりでびっくりした。

冒頭エルサレムの嘆きの壁から始まり、最後わざわざ「最後の晩餐」を表現するため、長机を並べて容疑者全員横に並ばせる。雪の中で。そこ多分すごく寒いと思うし、オリエント急行の中に椅子とかテーブル沢山あるだろうに…。
必然性無視。

12人容疑者を12使者になぞらえるのもわかるし、これだけ散々こすって今更感のあるネタに少しでも新味を与えようとする気持ちもわかるが、ここまであからさまにキリスト教的メタファーを散りばめるのはちょっとやり過ぎ。

これではミステリではなく、もはや宗教映画。

名探偵ポアロ役のケネス・ブラナーは、ノーランの『tenet』でも神的ポジションの役を演じていたが、ここでもまた「神」を演じている。神好きか。

それにしても今回は「探偵=神」が過ぎる。というか作り手は端からそういうつもりで自信満々でやってるので余計にたちが悪い。

後期クイーン的問題って向こうじゃあんまり問題にされてないんだろうか…。

「この世には欺けない者が二人いる。神とポアロだ!」
とローランドっぽいことを叫ぶに至っては、もうドン引きしてしまい、それ以降怖くてしょうがなかった。

この作品の真相自体そもそも取り扱い注意で、一歩間違うと逆にイジメみたいになってしまいかねないのだが、今作も案の定、扱い方を間違えている。

これがキリスト教の赦しや贖罪なのだとしたら、そんなの単に身内に甘いだけ。こういう理屈のもとに他宗教を悪だと決めつけ、どれだけ踏みにじってきたか。

変に宗教色を強くしたせいで感情がそっちに引っ張られて正常に見られない。
これなら新味のない今まで通りのオリエント急行の方が良かった。
かるまるこ

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