籠

ミスター・ノー・プロブレムの籠のレビュー・感想・評価

3.9
東京国際映画祭13本目

ロウ・イエ作品で尖った描写をしてきた脚本家メイ・フォンが若手と組んでの初監督作品。
画面の中央にカメラの位置をほぼ固定させながら何でも屋のおじさんの悪戦苦闘の日々を淡々とモノクロで描いているが時代は戦時中であってもこんな世界があったのかと思わせる共産国家成立前のほのぼの感が何故これを今と思う人が多いかもしれない。
原作は魯迅と並ぶ著名な老舎で不勉強な私は老舎は文化大革命で名誉が失墜させられていることを知る。近年名誉は回復したものの失われた良き時代の様々な人間模様を通じて観る者には主役の表裏の生き方とその周囲の変化が何かしら伝わる仕上がりになっていて敢えてこの題材を取り上げた意味は深いと思われる。
確かに長尺ではあるが今後ブレイクするであろう今回来日しなかったのは残念だが福山雅治と阿部寛を足して割ったようなチャン・チャオのイケメンでコミカルな存在が大きく貢献しているからアジア映画ファンは必見ではあります。
籠