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台北ストーリーのunkoのレビュー・感想・評価

台北ストーリー(1985年製作の映画)
3.7
不動産で働いているアジン(ツァイ・チン)は勤め先が買収されポジションを失い勢いで辞職してしまう。プライベートでも恋人のアリョン(ホウ・シャオシェン)との関係が宙ぶらりんで、結婚には向かわない。
アリョンの兄を頼り、アメリカで心機一転頑張ろうと行動に移そうとするが…。

賃貸を探しているであろう男女2人のシーンから始まる。
どうやらラブラブのテンションではないらしいのが雰囲気で伝わる。
屋内の撮り方で関係性を曖昧ではあるが判断できる映し方。それが作品全体を通して貫かれる。
周辺人物との関係性も同様。突然出て来たりするけど、会話の内容と雰囲気で理解させるのが上手すぎる。
この空気感は間が大事で倍速視聴をしていると台無しになる。
間のとりかたが絶妙。

7-80年代の台湾野球界の盛況。
リトルリーグの元エースピッチャーであるアリョンは過去の栄光に無意識でしがみついている男。
ただ現状を理解はしていて、現職を訂正して説明したりはする(1950年代から台湾の繊維産業は輸入に頼れず発展してきたわけだが、その前の時代は中国や日本から輸入していたからそこそこ儲かっていたのかな)。
しかし現実に行動できず雁字搦めになっている。
見栄っ張りで短期な性格から衝突してしまうことも多々ある。
なんだか書いていても物悲しい感じ。

アジンとアリョンの関係性が崩れかかる。
しかしなんとか持ちこたえているところに恋人関係よりも深い信頼感を感じる。それを感じたところで、ラストの展開…。

デビュー作から貫かれているとはいえ、監督は男女両方に厳しい笑
これが当時の台湾世相と監督が思う男女関係を組み合わせた現実だと考える。
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