オロゴン

台北ストーリーのオロゴンのネタバレレビュー・内容・結末

台北ストーリー(1985年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

素晴らしかった。
美術、光、人物の関係性とそれらを見る距離感がずっときっちり制御されていて、それがつまり美しいということなんだろうなと思うし、絵画を見るときのように目が釘付けになるけれど、その美が動きによってぐにゃっとユーモラスに崩れていくのが気持ちよかったです。
具体的には、少年野球、ダーツ、コーラのおもちゃ、バイク、血、煙草、テレビ画面とか

あとそれとは別に、絵画のようで絵画でないのは美しいアングルの中に建築、構造物が不自然に存在感を示すからというのもたぶんあって、都市・国家・経済という個人がどうすることもできない巨大な構造の中で生きることの閉塞感が、現実世界で映画を撮ることで生まれる具体としてそこに立ち上がっているように感じます。

構造的に動かせない立ちはだかる富士フィルムの看板があり、美しく立ちすくむ人物の影があり、人が絵の中で固まっているように見えるときがあっても最後は血を流す男が笑って小刻みに震えていることに感動を覚えます。
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