ソフィー

台北ストーリーのソフィーのレビュー・感想・評価

台北ストーリー(1985年製作の映画)
3.8
原題「青梅竹馬」とは幼馴染みのこと。アジン(蔡琴)とアリョン(侯孝賢)は結婚という言葉は出てくるものの二人の間にはかなりの溝がある。

アジンはキャリアウーマンで古い体制を抜け出しアメリカに移住したがっている。アリョンはアジンのお父さんと仲が良く昔ながらの商店街迪化街で布地やさんをしている。

会話は少なく画面に映し出されるショットから台湾の複雑な時代を感じる。マリリンモンローのカレンダー、中華民国万歳のネオンとバイク、Fuji film、広島カープス、資生堂のCM、ペプシコーラのおもちゃ、日本統治時代の建築物、、、

アジンが引き出しの整理をしながら見ていた映画の記事:

フランス映画 ルイ・ド・フュネス主演「大進撃」(1966) 戦争コメディらしい。

ドイツ・フランス映画 アラン・ドロン、ロミー・シュナイダー主演、「恋ひとすじに」(1958)

そしてディスコで流れるケニー・ロギンスのフットルース(1984)
*ダンス・ロック禁止の町から自由を勝ち取り卒業ダンスパーティーを開催する

こうして見ると台湾人が自分たちのアイデンティティを求めてもがいている等身大を切り取った映画とも言える。それは現在も続いていてエドワードヤン監督が生きていたらどんなショットを繋げただろうかと思わずにいられない。

ちなみにアジンに扮した蔡琴は人気歌手でヤン監督と1985年から1995年まで結婚。
アリョン役の侯孝賢はエドワードヤン監督と同じく台湾ニューシネマを代表する監督。なんかどこでもいそうな庶民の感じがよかった。
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