爆裂BOX

レイジング・ドッグスの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

レイジング・ドッグス(2015年製作の映画)
3.7
銀行を襲撃し人質の女を連れて逃走したサブリ等強盗達は病気の娘を連れた父親の車をカージャックし国境を目指すが…というストーリー。
マリオ・バーヴァが手掛けたクライム・バイオレンス「ラビッド・ドッグス」のリメイクです。自分はオリジナル未見ですが、アルジェントを思わせる真っ赤なライティングや青い色彩の画面などはオリジナルのバーヴァにオマージュをささげたんじゃないでしょうか。
冒頭の銀行強盗からの逃走シーンはスタイリッシュに銃撃戦などを描くアクション色強い作りになっていますが、新婚女性を人質に取り、重病の娘を病院に連れていく父親の車を乗っ取ってからはお互いの腹の探り合いが始まる作りになっていきます。強盗達もメンバーを集め計画を立案したリーダーが逃走早々に警官に射殺されたのでサブリが一応のリーダーになるも一枚岩とはいかない関係なのも疑心暗鬼のドラマに拍車をかけます。人質の方も何とか脱出しようと隙を見て足掻く女と強盗達に逆らわないようにしようとする父親と必ずしも一致団結してないんですよね。
途中で立ち往生喰らう熊の宴という祭りが開催されている村での脳梗塞でベルを鳴らして用事を知らせる老婆と娘の末路も悲壮感に満ちていて印象に残りました。
終盤のどんでん返しもそこまで隠していた本性を露にする人物の姿が盛り上げてくれます。予想外の事態でまともな計画もなくグダグダと進んでた者と同じく予想外の事態に見舞われながらもチャンスに変える為計画を練り虎視眈々と機会を狙っていた者との差が出た感じですね。ラストで明らかになるもう一つの事件で正体がわかりますが、咄嗟にあんな嘘つき続けられるってかなりの知能犯だな…エンドロールの後の少女の映像にその末路にも想像を刺激されました。冷酷な知能犯だからロクなことにならなそうですが…
中々楽しめたクライム・バイオレンスでした。オリジナルも「ラビッド・ドッグス」も8月にBD出る様なので是非見てみたいですね。