ポールシュレイダーvsレニーハーリン！
全裸ふんどしのハゲ悪魔と戦うメリン神父の若き頃を描いたオカルトホラー。

エクソシストシリーズ5作目。
本来であれば『エクソシストビギニング』として公開される予定だったけれど、評判が悪くてボツになってしまった可哀想な作品。だから正確にはこっちが4作目で『ビギニング』が5作目になるのかな。

あらすじ…
戦中のナチスの非道さに信仰を失っていたメリンは神父を休職し考古学者として活動していた。アフリカの地中から見つかったキリスト教会はキリスト教が伝わる前に建立されており、本来であれば「あるはずの無いもの」。若いフランシス神父や現地民たちと協力して発掘を進めるメリンだったが、次第に恐るべき事態へと発展して行き…。

大まかなストーリーはレニーハーリンの『エクソシストビギニング』とほぼ同じ。大きく違うのは人間の中に眠る本質的な悪に焦点を当てていたハーリン版に対して、こちらのシュレイダー版は本質的な善というか、善であろうとする人間の必死のもがきに力を入れて描こうとしているように感じました。

侵略戦争を根底に置き、侵略国の非道な行為をキリスト教の神が他国の神を蹂躙していくことと同視し、キリスト教の悪の面を映画前半で強烈に印象付ける。

こういったところもハーリン版と同じなんだけど、原因が何であれ人々が争う状況そのものを地獄であり悪だと捉えている。それは人間の心からの意志ではなく、様々な周辺事情によってそうせざる得ない状況に追い込まれたことによる一時の心の弱さが生み出したものであり、一度表に出てしまったそれは抑え込むことが極めて難しくどんどん膨れ上がっていってしまう。

人間の中にある弱さこそが悪であり、その弱さに立ち向かおうとせずに無関心を貫く姿こそが信仰を失った状態である。本作はメリン神父が弱さへの無関心から脱し、人の本質的善を信じる強さを獲得する（＝信仰を獲得する）物語。

そして自身の過去の罪を受け入れることも強さであり、神父である自分が「神の不在」という名の「善の不在」と正面から戦わずしてどうする！というメリンの神父としての再生が静かだけど何者にも負けない強い意志を感じさせ、めちゃくちゃカッコイイ！ここら辺が大きくハーリン版と異なるように思います。

悪魔との戦い等ハーリン版の方が派手なシーンが多く、こちらは終始地味。ただ、まとまりのなかったハーリン版と比べると本作の方がしっかりと全てを無理なく繋ぎ合わせているし、『エクソシスト』の描くテーマを考えるとこちらの方が前日譚として正当なように思います。私は『ビギニング』よりもこちら派です。

一年以上前にコンプリートアンソロジーという全作入ったBlu-rayボックス買ったんですけど、ずっと放置しててやっと全部見れました(^_^;)やっぱり買うと見なくなるからダメっすね（笑）ディレクターズカットじゃない方の『エクソシスト』だけ感想あげてないけど、そっちは何かの節目にあげようと思います。

• #ホラー映画と怖い映画

「エクソシスト」前日譚です☦️
メリン神父はこんなことをしていたんですねー😄
話はゆっくり進む感じで
怖くないなぁ😅
出産した赤ちゃんには驚きましたが😣
クライマックスも私はイマイチでした😆
悪魔に見えないよね…😅

• #riekon洋画2021

目が赤いな


『エクソシスト ビギニング』とは異なる"もうひとつ"の前日譚。制作会社の裏で起きた出来事により、本来なら本作が『〜 ビギニング』として公開される予定だったそう。『〜 ビギニング』が失敗に終わったため、翌年に既に完成済みの本作が公開。いろいろと複雑ね。

多少の改変や人物設定の変更があるものの、ストーリーはほとんど同じ。ですが、本作の方が『〜 ビギニング』より好きです。ストーリーにドラマ性が芽生え、メリン神父の心情に共感してしまった自分がいました。クライマックスは『〜 ビギニング』の方が迫力ありますが、総合的に捉えて本作の勝ち。一般的なホラー映画やエクソシスト映画の中ではイマイチですけどね😅

こうして考えるとやはり『エクソシスト』の偉大さと圧倒的な怖さは常軌を逸していたのだな、と改めて思わされました。

• #盆栽の2000年代ホラー