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立ち去った女のdiesixxのレビュー・感想・評価

立ち去った女(2016年製作の映画)
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冤罪で30年間も刑務所に入っていた元教師の女。ようやく嫌疑が晴れて出所したが家族は離散、夫は死別。主人公は自分を陥れた元恋人に復讐するため、行動を開始する…というプロットだけ読むと桐野夏生のノワール小説のようなおばさんハードボイルド…だが、フォーマットはモノクロと長回し、固定カメラの超スローシネマ。理不尽な暴力と貧困にさらされるスラムで身を寄せ合って生きる障害者やトランスのゲイと交流しながら、虎視眈々と復讐の機会を窺う様子をじっとりと見つめる。
トランスでゲイのホランダは、日本で出稼ぎに行っていた設定。突然日本語で喋り出すからちょっとびっくり。我々日本人もこの貧しき人々の抑圧と搾取に遠からず加担しているのではと思わされ、なんとと居心地の悪い感覚。
自宅鑑賞には向かず、何度も寝落ち。4度目くらいでやっと通しで見れた。
監督の才能は感じつつ、私はアルフォンソ・キュアロン『ROMA』のようにある程度作り込まれたショットに惹かれるかな。
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