QTaka

立ち去った女のQTakaのネタバレレビュー・内容・結末

立ち去った女(2016年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

3時間48分は、長いか短いか?
そんな問題じゃないと思う。
では、この映画は?
一言で言ってしまうと、
「1話完結の連ドラが、
ワンクール持たずに打ち切りになって、
全4話を一気見した感じ」
です。
あんまり褒めてませんね(^^;; 全編モノクロ、BGM無し。
限られた登場人物なのだけど、意味不明な人も居たりして。
監督の意向で、休憩なしの上映ってことだけど、それは途中入退場OKな、ゆるい上映スタイルでもあります。
ま、「楽しめればそれで良し。」ってことで。
でも、眠くならなかったですよ。
最後まで、きっちり見られました。
つまんないところは、全然なくって。
映像も慣れてくると「こういう感じ」と受け入れられるし。
だから、4時間近くの映画ですが、全然苦にならないです。

って、長さのことばかり言ってますが、中身についてチョットだけ。
復讐劇と言えばそうなのだけど、物語の根底にはキリスト教の教えが流れているんですね。
主人公が、獄中で、あるいは釈放後も記している散文が、物語の根底に流れるストーリーとなっているのかな。
物語の始めの獄中でも出てくるし、最後の方でも出てくる。
30年という獄中生活は、主人公を含め家族の人生を壊してしまった。
一方で、影で糸を引いた首班者は、幸せと地位と、お金を手にしていた。
ところが、かつて自分が、陥れた女の姿に気付いた時から、何かが変わり始めた。
過去に自らが犯した事の重さを感じ始めていた。
復讐劇は、成就するのか否か。
主人公が綴った散文の物語では、かつて自身を陥れた犯人は自らの罪を認め生まれ変わろうとするのだが、主人公は実際の犯人の心境の変化までは知らないし、知る由もない。

最後まで、救いのない展開で終わってゆく物語

最後まで、じっくり見られたのは、何故なのだろう?
「映像の美しさ」ではないだろう。
そう、奇をてらった、あるいは特殊な技術を用いた映像でもなかったように思う。
ただただ、白黒で撮られた映像である。
一つ、言えるとすると、
三脚に固定され、
比較的長いカット割りで、
パンすらしない、ズームもしない固定カメラの映像が、
大きなスクリーンの隅々までをゆっくりと見させてくれていたのかもしれない。
この撮影方法だと、たしかに、映画はどんどん長くなっていくよね。
でも、見る方は、実は楽チンだね。
「BGMが無い」というのも、実は見易さに繋がるかもしれない。
余計な音がない。
その撮影現場でマイクで拾った音しかない。
だから、バイクの走り抜けるエンジン音、犬の鳴き声、物売りの掛け声、サンダルの足音、飛行機の音、雷の音、雨音。
その場面をそのまま受け止められるのは、見る側にとって、とても楽なことに繋がる。
言葉の扱いも丁寧だった。
特に、主人公が記す散文については、もう少ししっかりと受け止められると何か別の感想や、別のストーリーが見えてくるのかもしれない。

と思うところを並べて見たが、数々の疑問はあれども、
もう一度見て確認という気にはならないかな。
一度で十分、ご馳走さまです。

追伸
劇中で当たり前のように出てくるあれがチョットだけ気になった。
「バロット」ってあれですよね。
ん〜ダメだ。これだけは無理。

ちょっと話題の映画でもあったためか、この長さの映画なのに、映画館は結構混んでました。
でも、どうなんだろう?
見終わった方々の感想が聞きたかったね。
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