かるまるこ

立ち去った女のかるまるこのレビュー・感想・評価

立ち去った女(2016年製作の映画)
2.0
手前と奥に対象物を配置した奥行きのある構図。
そのどちらか一方(もしくは両方)でアクションがあり、そこから生起するドラマを定点カメラの長回しで撮る。
ちょうど中間あたりに大抵、道があり、時折、人や車が横切り、手前と奥とを分断することで、それが擬似的なカットの効果を生み、動きが停滞した画面に変化を与える。

大体このルールに則っての約四時間。

定点長回しでこれだけ退屈させないシステムを構築したのは発明だと思うし、ヴェネツィアはそこを評価したのだろうが、如何せん引き出しがこれしかなく、ホントにずっとこれの繰り返しなので流石に飽きる。

上映時間がもっと短かったら評価も違ってきたと思う。

キツかったのは上記ルールに則っていない長回しのシーン。
特に泣くシーンと発作のシーン。
受け取る情報がそれ以外ないのに、無駄に長く、退屈する。

これはもうラヴ・ディアスの生理、というか性癖なんだろうし、エンタメを志向しているわけではまったくない映画祭専用映画なので、彼の生理とぴったり会う人が楽しめれば文句はないのだが、自分には合わなかった。

特にラスト。
道にバラ撒かれたビラの配置のあざとさ。
監督の指示のもと、スタッフが1枚1枚置いていったかのような圧倒的作為。
わずかに残っていた興味もそこで完全に失われてしまった。
少なくともビラの配置はもっと偶然性に頼るべきだったと思う。
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