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リチャードの秘密のMoviePANDAのレビュー・感想・評価

リチャードの秘密(2012年製作の映画)
3.3
『強く儚き者たち』

『ルーム』のレニー·アブラハムソン監督が、『フランク』の2年前にアイルランドで撮りあげた長編作品。モラトリアム真っ只中の青年の日常と、若くして迫られる人生の決断を独特のタッチで描く。

アイルランドという国がこういう天候の国なのか、映し出されるのは常にハッキリしない天気。その空の色が主人公の心情とリンクしているかの様で、笑顔を見せたとしてもどこか冷めた様に見える。主人公を演じるのは、『シング·ストリート』のジャック·レイナー。この作品の演技で『トランスフォーマー/ロストエイジ』に抜擢されただけあって、“18”という多感な年頃の心の機微を一見冷めていながら感情豊かに表現しています。

まさに恋愛モラトリアムとでもいうべき、この年頃らしい“妬き方”がとてもリアルで、観ているこちらも何だかソワソワ。惹かれ合う心、その気持ちはやがてより強い想いに変わり…

淡々とした進行ながら、カットとセリフの被せ方が非常に独特な為、飽きる事なく彼の動向を見つめる事になります。もしかしたら、そこで好みが分かれるかもしれません。そして起こるある出来事。それにより、ひとりひとりの人間がいかに弱いかをじわじわと浮かび上がらせ、鑑賞後心に余韻を残す。人は強さをもって、生きている。だけど、本当は弱く儚き生き物なんだよなぁ(*´-`)
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