ハニワ

監獄博徒のハニワのレビュー・感想・評価

監獄博徒(1964年製作の映画)
3.7
任侠モノは好きで色々観たつもりが、コレには驚かされた---本作は設定が異色の掘り出しモノ作品。
鶴田浩二 大木実 里見浩太朗 山城新伍 みんなが若い!目がキラキラして古さを感じさせないココがなんか良い!
東映が任侠モノへ進む初期作品の一つだと思うが 東映ならではのサービスシーンが各所に何層にもなって楽しませくれる。
昨今の煮込み切った任侠-実録モノに至るものとはまだ手前の本作は、男の世界を 九州 三池炭鉱 生地獄と言われた監獄 その舞台の中で あらゆる角度からその演出の追求を試みている。
今でも見応えある炭鉱や飯場も装置としても良い仕上がり。
時代性においては懲罰房や出所祝いのネズミの刺身は当時はこんなトコか---と驚かされる。出所する京山幸枝若の浪曲の名調子もサービス満点だ!
『仁義無き---』の文太兄と辰っちゃんとの獄舎での血の盃もココが初か!遠藤太津朗野の役どころも珍しい!オープニングのスタッフロールに、刺青絵師の毛利さんもこの頃から既に!---と色々と勉強させてくれる作品だ。
渋さに円熟味が出る前の鶴田だが、なんと言っても、敵対していた大木実と懲罰房の柵越しで、兄弟分としての契りを誓った時の笑顔はやっぱり痺れる!
ストーリーの要所を締めてくれる!
厳しい見方をすれば練磨すべきところは散見される作品ではあるが、不器用な男の世界を描きつつ娯楽性をも体感させたいというサービス精神が加味し、制作者の欲というより“愛”を そこに感じるのだった。
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