TaiRa

THE BATMAN-ザ・バットマンーのTaiRaのレビュー・感想・評価

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原点回帰コンセプトは良かったけど、脚本と演出で失敗してる。無駄に長い。

バットマンがそもそも「世界最高の探偵」って呼ばれてる設定をピックアップして来て映画にする発想は良かったと思う。ただ、それを今更のように『セブン』テイストでやられても。『羊たちの沈黙』以降に粗製濫造されたサイコ・スリラーのどれよりも出来が悪いってのは大問題だろ。『ボーン・コレクター』以下じゃん。表現の部分でR指定に出来なかったのも弱い要因だけど、『ザ・スーサイド・スクワッド』の後じゃ「DCの大作映画なんで」って言い訳も出来なくないか。脚本もはっきり言ってダメだし。苦労して探し求めた「真相」が薄過ぎ。だってその事実ってゴッサムシティの初期設定じゃんね。人選の意外性とか皆無だし。探偵と警部補コンビによる謎解きの過程も一個一個が弱い。簡単に解けちゃう謎ばかりで数が多いだけ。閃きによって謎が解ける快楽があんま判ってない。そんな話を冗長に、勘違いした「シリアス」演出で見せていて退屈。芝居の付け方も一本調子でつまらない。マット・リーブスの紋切型に終始した演出も、対象が猿であれば一捻りあるので見てられる。猿が見得切ったり熱のこもった「芝居」してるのがおもろい『猿の惑星』とは今回ワケが違う。ポール・ダノのリドラーも空回りした熱演でクドい。『マインドハンター』以降にあんなありふれた猟奇殺人犯像を演られてもな。監督が俳優のエゴを扱えてないよ。ダラダラと感傷的な劇伴流すだけのマイケル・ジアッキーノも、只々暗くしてそれっぽさ出してるグリーグ・フレイザーの撮影も全然良くない。ロバート・パティンソンはカッコ良かったけど、ただカッコ良かっただけ。
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