殺る気なマックス

THE BATMAN-ザ・バットマンーの殺る気なマックスのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

アマプラにて配信開始されたので再観賞
初見、映画館での観賞時にはようわからんかったこともある程度展開理解できてるので「何でこれこうしたんだっけ?」というモヤモヤ解消しながら見られたのでようやく今作の良さに気がつけた


今作のテーマはまさしく【復讐】

ブルースによる名も無き犯罪者に両親を殺されたことでのゴッサムにはびこる犯罪者達への復讐

セリーナによる母親と自分を苦しめた父への復讐

リドラー含めた孤児院出身者による
誰からも見向きもされぬ中
仲間の子供達が死んでいきそのなかで見つけた唯一の希望の光であった「再開発計画」すらも
権力者による利益争いの種でしかなかったという
自分達の希望すらも食い物にした連中への復讐


それぞれ他者に対して強い憎悪を抱く各人物の行動がどういった結末を迎えるのか
それを楽しむものでした


そして今作の見せ場は
バットマンによる【復讐】と
リドラー達による【復讐】
この違いは何か?

リドラーがこの事件のキーマンとしてバットマンを選んだのは復讐の対象であるものの自分と同じ復讐者だと思ったからであるが
ブルースはリドラーのその意見に反対
自分はリドラーと違うと述べるがどう違うのか
対面するシーンでは答えが示されないが
ラスト事件のあとのブルースの行動でそれが描かれる


テーマの部分に話を戻すと
今作のブルースがバットマンとして何故夜な夜な街に繰り出し戦うのか
その理由は「両親の復讐」であり
名乗るときもバットマンではなく「ヴェンジェンス(復讐)」
これが唯一の原動力になっていて

そんな彼が復讐ではなく
「人々に希望を与える」事を原動力に変えていく
過去のトラウマを絶ちきりより良い未来のために戦っていく
という戦う理由の変化が描かれた作品でした

それ故ラストの救出シーンでの
「復讐では過去を変えられない。誰の過去も」
「希望が必要だ、人々を支える存在が」
と過去のトラウマを乗り越え未来に向けたブルースの考えと今後の指針が述べられてラストへ向かっていく
この時の描写も中々よかった
作品全体をダークなノワール調にしたことで夜明けのシーンがより未来に向かって踏み出していくシーンとして印象強く感じられた


セリーナに関してはまぁよくある復讐劇って感じで特にはこれと言って感じるものはなく


リドラー達に対しては割と世相を反映してるんじゃないかなと思う
キャラクターとしてはホアキン・フェニックスの「ジョーカー」に被るけど
特にアメリカでの話だけど貧富の差が激しくなるなか
名もなきもの達の暴力による訴えとカオスという割とアメリカ今メチャクチャなことになってるし
そのうち本当に「ジョーカー」や今作のリドラー達みたいなの現れるんじゃないかと思ってる

個人的感想としては
バットマンの始まりの物語としては「バットマン ビギンズ」が完成され過ぎてて
比較してしまうとそりゃイマイチに感じるものの
単体で見ると悪くはないかなと思った
まぁ、この長尺に見合った内容ではないと思うけど

シーンとして1番盛り上がるのはやはりラスト
リドラーの仲間である孤児院出身者含めた虐げられてきたもの達が
珍しく正義感のある新市長のリアル含めた善人をも信じる事が出来なくなり暴力による強制「再開発」を開始
それをバットマンが止めにかかるシーンかな
やはりリドラー側に同情せざるを得ないよね

目の前で仲間の子供達が死んでく様を見て育ちこんだけひどい目見せらた上に唯一の希望すらも裏切られて
今更何を信じろと?という状態の彼らと
対峙するシーンは正直、胸が痛むよね
まさしく失うもののない無敵な人

ただ個人的に描写として不満があるのは彼らの悲惨な状態をリドラーの台詞だけで表現してることかな?
もう少しリドラーとの途中の駆け引き減らしてこっちの描写増やしても良かったんでない?とは思う





初見、映画館での観賞時の感想


映画としては悪くないんだけど"バットマン"映画としては微妙…

今作に関して欲言えばもう少しキャラ付けしっかりしてほしかったかな…
全般的に悪くはなかったんだけど推理に時間を割きすぎて肝心な動機に感情移入しづらくなってしまっている。


テーマが"復讐"だからこそそこにもう少し時間を割いても良かったんじゃないかと…
個人的にはオープニングをリドラーの悲惨な幼少期映す所からはじめ観客が同情仕出したところでリドラーとして殺人犯すシーンに切り替え物語が始まるのでも良かったかなと
で、今作のオープニングが最高なので逆にラストに持ってきて作中まだまだヒーローとしては未熟な部分があるバットマンが今作の件でここまで恐れられるゴッサムの象徴になってきたという終わり方にしたほうが作品終わったあとの高揚感も高かったかな
ノーラン版は作品見終わったあともなお観客が高揚感で満たされるようにするために終わらせ方に気を使ってくれていたが今作も上記みたいにしてくれれば割と見終わったあとすぐの気持ちも心地よいものになったのではないかなと思った。
あと、キャラ付けに関してはキャット・ウーマンもペンギンもキャラが薄くなってしまっていて
なんかそのキャラらしいシーンあったっけ?ってなる

リドラーに関しても復讐の手段が何故ナゾナゾなのかとかよくわからんかったし
個人的には古参ヴィランのクルーマスターが2004~08放送アニメ【ザ・バットマン】8話に登場したときみたいな動機づけをしてほしかったかな
その時はクルーマスターことアーティーブラウンが少年の頃クイズ番組の王者だったが番組の勝手な都合で無理やり敗者にさせられその後惨めな生活を過ごすことになったが為にクイズを使って番組製作に携わっていたスタッフに復讐するという話だったけど
このときのクルーマスターのように何故、今作のリドラーがわざわざ普通に復讐するのではなく手のこんだナゾナゾを使って復讐しようとしたのかを掘り下げて欲しかった。

リドラーを捕まえるシーンも以下みたいな形にしてくれればよりバットマンらしかったかな…

・リドラーの過去の犠牲者達からリドラーの犯行動機に至る経緯、事件を調べだし次の犠牲者、犯行を予測した上で先回りしリドラーとラストで対峙!
復讐を遂げようとするリドラーとバットマンが対決して終了
もしくは追加で逮捕後にリドラーが作戦失敗したときのことを考慮して保険をかけていたトラップが作動し今作みたいになって終わる
まぁ、その場合ナゾナゾの出すタイミングがターゲットを殺した後にナゾナゾを出すのではなく他のアニメーションやコミックのときのように犯行自体がナゾナゾを通して行われるようにし直さなければならないんだけどね

まぁ、こういうやり方のほうがバットマンらしかったかな〜と思いやした

ラストもナゾナゾ対決とかあっても良かったかもね
例えば上にあげたアニメ【ザ・バットマン】8話のクルーマスター戦のように
その時は最後クルーマスターの復讐相手がボタン1つで殺されるようになっていてバットマンとクルーマスターが互いに1問ずつクイズを出しバットマンが答えられなかったら人質は死に逆にクルーマスターがバットマンの出した問題に正解できなければ人質は開放というルールの中
先に出したクルーマスターの出した問題に正解しバットマンが逆に出した問題が「バットマンの正体は誰だ?」
というクイズに流石のクイズ王者も答えられず
暴走したクルーマスターがルール無視して人質殺しにかかるところでバットマンに倒されるって流れだったけどそんな感じの捕まえ方とかでも普通に楽しめただろうなと思った。

正直今作のやり方だとね〜
ナゾナゾを解くためのタイムリミットとかもないからスリリングさはないし
また、今作の謎解きの最終地点がある程度予測ついてしまい
個人的には中盤くらいから「こいつ少なくともなんか関わってるだろ」と感づいてた
んで前半のナゾナゾの行き着く先もなんか物足りなかった

ただ今作の楽曲はよかった!バットマン過去作の楽曲に引けを取らない印象に残りやすい素晴らしい楽曲でした
また、オープニングがバットマン映画史上一番良かった