パパイヤ男爵

THE BATMAN-ザ・バットマンーのパパイヤ男爵のレビュー・感想・評価

5.0
表題に偽りなし
これがバットマン
これぞバットマン

映画的にはこれまでになかったタイプのバットマンだが、様々な王道が散りばめられた作品で、最終的に王道そのものを見た印象になる。

ノーラン版よりもハイテク装置は控えめでほとんど肉弾戦で圧倒的な強さを見せるバッツが兎に角カッコいい。これぞヒーローよ。パティンソンはあまりマッチョなイメージではなかったので、こんなに殴り合いが多いのに正直驚いた。でもそれだけではなく今回のバッツは「世界最高の探偵」の頭脳を存分に発揮し、「ケープを纏ったクルセイダー」としてゴッサムの住民を導き、言わずもがな「ダークナイト」の恐怖を持って悪人に立ち向かう。コンピューターを駆使するブルースもいいけど、自分の頭脳と肉体で闘う姿にはやはり王道を感じずにはいられない。

そしてセリーナの描き方がまたイイ。ビジュアル的にも役割的にもゲームのアーカムシティにかなり近いイメージに思える。ゴッサムに未練はなく自分のために行動しつつも、ブルースを気にせずにはいられない。個人的にはここでもこれぞキャットウーマンという印象。先ほどの強いバットマンに加えて、このセリーナとの関係がブルースの人間的な部分を引き立てていて、この関係もやはり王道。

バットマン作品には魅力的なヴィランが多いので、ブルース本人の主張はやや控えめにしてヴィランを見せるパターンも多いが、この作品ではリドラー、ペンギン、ファルコーネのどれも蔑ろにはならず、特にリドラーは現代的な要素を取り入れてリアルなサイコパスっぷりが素晴らしい。ブルースにもヴィランにもしっかりと焦点を当てた脚本なので、3時間という上映時間も仕方ないと思える。

他にもいつまで経っても昼間にならない暗すぎるゴッサムとか、演出もかなりコミックスに近い印象。いわゆる(マーベルのような)アメコミヒーロー的な作品からアーティスティックな作品まで様々な作風で作れるのもバットマンでしかあり得ない。

最終的な展開により、ゴッサム裏社会の秩序が変化してこれからペンギンとか諸々のヴィラン所属のギャング団が覇権争いを始めるんだろうなぁ、その中にはきっとあのヴィランもいるに違いない…と続編が既に気になっている。
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