とむ

THE BATMAN-ザ・バットマンーのとむのレビュー・感想・評価

4.2
クッッッソかっけぇ。

バットマンって作品自体がそもそもハードボイルド・ノワールだったのでは?と思ってしまうほどアメコミ色は抑えめで、そこがすごい良かった。
探偵モノというテイはとってるけど、あくまで「バットマン」っていう作品のフォーマットを踏襲した結果そういう形になっているだけなので、本格的な謎解きミステリーになっていないのが良い判断だったと思います。
あまり難解な内容にしてしまうとヒーローものである前提を邪魔してしまうし、
ちゃんとこれまでにないバットマンになっていました。

これまである種の記号的表現として使われていた定番のサーチライトを「悪に対する警告にもなっている」という描写を冒頭で入れ込んでくれるのも新鮮でした。

ダークな照明や、画面周辺をボカす感じのレンズの選び方など技術的な部分もすごく良かった。


TENETのニール役も記憶に新しいロバート・パティンソンの影のあるダークヒーロー像もめちゃくちゃ良かったし、
キャットウーマンやペンギンマンなど、元々のエッセンスをしっかり抽出しつつ、セリフや物語内で明確に説明することは控えた塩梅の脚本もお見事。

そして真犯人役の…。
スクリーンに彼が映し出された瞬間、思わず笑ってしまいました。最適すぎて。
「ゾディアックインスパイア」とも言われてるみたいでそれももちろんだけど、
彼が出たことでプ◯◯◯ー◯感もあったなと。
(キャストに役入りで明記されてるから良いのかなとも思いつつ)


リドラーに協力していた彼らがあくまで「誰でもない誰か」だったというのも、
社会的な問題に即していて社会派なテーマとしてはまずまずだったのではないかと思いました。

ただ、キャットウーマンとの絡みは果たして必要だったのか…?
と思いつつ、バックミラー越しの別れのシーンは、今作においてなりきれてなかった「バットマン」になった表現になってるので一概に無碍にするのも違うかもな〜と複雑な気持ち。
とむ

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