MorrisWood

THE BATMAN-ザ・バットマンーのMorrisWoodのレビュー・感想・評価

4.6
3時間を超える上映時間だったが全く退屈を感じなかった。

ヒーロー映画ながらサイコサスペンスやノワール映画の要素を取り入れ、かつ観客が退屈しないようサスペンスとアクションのバランスがよく取れている。また、アメリカ社会の「分断」といったトピックも取り入れつつ、説教臭くならない演出・脚本に仕上げているのは見事。

また、本作の悪役リドラーについては、これまでの映像作品などから「面倒な謎々おじさん」程度の印象しかなかったのだが、過去のイメージを全く覆す新たなリドラー像が提示されている。

本人が行う犯罪行為自体も(直接的描写はあまりないものの)このようなヒーロー映画においてはかなり残忍で、しかも終盤になると彼がただただ残忍なだけでなく、もっと大規模な恐ろしい計画を実行しようとしていることがわかってくるあたり、ノーランの「ダークナイト」に近いのかもしれないが、個人的には「ダークナイト」よりもよりアメリカのリアルを反映しているように思う。

個人的には本作が過去のバットマン作品の中でも最高傑作だと思ったのだが、クリストファー・ノーラン時代から本格的に始まった「現実社会におけるヒーローとは」という問いであったり、ザック・スナイダーが描いた「両親の死というトラウマが原因で犯罪者への復讐を行う目の死んだ主人公」という要素なども本作で踏襲されており、過去にあった色々なバットマンを踏まえて進化してきてるんだなぁ、という点もしっかり感じた作品であった。
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