ベイビー

THE BATMAN-ザ・バットマンーのベイビーのレビュー・感想・評価

3.7
普通に面白かった。と言ったら失礼な言い方になるのかも知れませんが、知能犯リドラーVS陰キャなバットマンで繰り広げられるサスペンスはとても見応えがありました。

今作のバットマンは、探偵のような、捜査官のような、今まで見たこととのないバットマン像。ストーリーの進め方も「セブン」みたいだったし、何となく「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」の「笑い男」にも似てたし…

端的な感想を言えば、

「『ダークナイト』のイメージに触れないよう擦れ擦れのところを避けていったんだけど、その結果、意図しないところで他の色んなものに触れて吸収してしまった…」

という印象が残りました。

もちろん作品の作り込みには時間やお金や情熱の掛け方が物凄く感じられ、この作品自体はリスペクトもできますし、本当に面白いとも思えたんです。でも、それと同時に「この物語の主人公が、バットマンである必要があるのか?」という素朴な疑問も頭の中にちらついたことも事実なんです。

「バットマンがバットマンたる所以」

というのを明確に示したのが「ダークナイト・トリロジー」だったと思うんです。「正義とは何か?」「悪とは何か?」「ヒーローとは何か?」ということを我々に問いかけながら、"闇の騎士"というバットマン像を見事に描いていたのだと思うんです。

でもそれは「ダークナイト・トリロジー」でのお話。ですから今作ではそんな「ダークナイト」を継承しないように意識し、あえてそういった説明的なものを省き、バットモービルなどのギミックもシンプルにしたのも分かるんです。

その結果、バットマンはヒーローらしくないし、全然強そうじゃないし、世界観も"「ザ・バットマン」らしさ"みたいなものを見つけられなかったんです。そして、リドラーはゴッサムシティの欺瞞を世に晒すことが目的だったはずなのに、なぜバットマンの欺瞞は暴露しないのだろう? という妙な引っ掛かりが作品を観てから残ってしまったんです。

そんな残尿感は続編で払拭されるのでしょうか?

聞くところによると今シリーズも三部作とのこと。次作ではジョーカーも出てくると思いますのでそちらに期待ですよね。どのようにジョーカーが描かれ、バットマンの印象もどのように変わっていくのか…

とにかく早く続きが観たい。「ザ・バットマン」の本当の姿を、早く届けて欲しいと願うばかりです。
ベイビー

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