イホウジン

THE BATMAN-ザ・バットマンーのイホウジンのレビュー・感想・評価

4.0
正義はどこに宿る?

過去最悪の治安レベルである今作のゴッサムシティは、もはや悪が悪を上塗りすることによってかろうじて機能しているような状態だ。この映画の冒頭のバットマンは、その悪の頂点に君臨しようと試みることで、その負の連鎖を断ち切ろうとしていた。不良たちが闇に対して恐怖を抱いていたのはその証拠であろう。
そんな中でリドラーはバットマンに“協力”する。彼はバットマンの内なる悪を彼自身のトラウマを想起させることで増幅させることに成功し、悪の力をもってゴッサムシティを混沌のグラウンドゼロに回帰させようとした。ヒーローものに本来あるべき「正義」が欠落し、自身の願いのためにどんな犠牲や恐怖も厭わない2人の姿は、正しく今日的な題材と言えよう。
故に終盤におけるバットマンの変化は、第一作にふさわしい、ヒーロー誕生のストーリーとして今作を位置づけさせる。内なる悪を克服し、他者と社会を守ろうとする決意に基づいた彼の行動は、単なるリドラー打倒という目標だけでなく、ウェインにとってのより良い人生の構築にも繋がるであろう。
ペンギンの小物感が良かった。正直映画のストーリーからは外れていたような気もしなくはないが、映像的に楽しかったのでプラマイゼロになっていたと思う。

ジョーカーが暗躍するであろう次作も楽しみだ。
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