Yellowman

THE BATMAN-ザ・バットマンーのYellowmanのレビュー・感想・評価

4.5
正直、全く期待していなかった。
彼方此方で聞く賛否両論。だが、蓋を開けてみたら紛れもない大傑作。

陰鬱な雰囲気がどハマりのロバート・パティソン演じるブルース・ウェイン/バットマンも、黒が締まりすぎてて画がひたすら暗くても、舞台がほとんど夜で雨が降っているシーンが多くても、尺が長くてもいいじゃないかと、私は言いたい。
当の私は、本編中にNIRVANAの「Something In The Way」が流れ出しだけで、これだ!と確信した。
今の時代のスーパーヒーローの描き方を理解しまくってるなと監督のマット・リーブスに感服した。
監督は、ブルース・ウェイン像にNIRVANA のカート・コバーンをダブらせ、脚本を書いたとの事で、あー、つくづく、どこもかしこも病んでるし、傷つきやすい世界に生きている我々に放つ”新たなるバットマンリブート”の世界観はこういう事かも知れないなと思った。
今の日本が本作で描かれるゴッサムシティみたいで汚職と賄賂に塗れているし、世界は戦争が起きている中でも、フットボールの祭典で大騒ぎ。今日も今日とて、闇の世界がはこびる狂乱の世の中だ。本作ぐらい陰鬱なダークの世界で正義とは、何だと、まだ未完全のバットマンが問いてもいいだろう?
そのぐらい今の時代を飲み込んだ完膚なきまでのある意味2022年の問題作だ。(Not for Oscar )
何せ、歴史あるスーパーヒーロー”バットマン”80年代後期には、ティム・バートン、0年代には、クリストファー・ノーランの”ダークナイトシリーズ“で再び人気作へと復権した後の更に時代が進化した20年代に作り公開するプレッシャーは、製作陣にとって、並大抵の事では、なかっただろうが、本作は、見事にクリアしたと言える出来ではないだろうかと思う。
キャスティングは、見事の一言。特殊メイクを施した悪役のコリン・ファレルや、何と言っても確実に爪痕を残しまくりのリドラー役のポール・ダノ。セクシーで、アクションも魅せるゾーイ・クラヴィッツ。そして、見事に本作の意図を飲み込みんだキャラクターを演じたロバート・パティソン。
本作で一番痺れたのは、コリン・ファレルとのカーチェイスで、逃げ切ったかとコリン・ファレルが後ろを振り返ると炎の中からバットモービルが登場するシーン。
映画を観ていて震え上がる瞬間。まさにそれ。
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